ブログ「マネサピ」を運営しています「ゆーきっちゃん」です。長期投資で個別株ポートフォリオを組む場合に、「セクターが分散されているか」が非常に重要なポイントの一つになってきます。そこで今回は、セクターローテーション戦略をご紹介したいと思います。
セクターローテーションとは
セクターローテーションとは景気の波に合わせて、投資対象のセクター(業種)を変えていくという投資戦略の一つです。簡単に言うと「景気の動向から儲かる業界がわかるので、景気に沿って投資する対象を変える」投資戦略です。
景気サイクルには大きく分けて4つのパターンがあり、それぞれの期間は明確に決まっていませんが下記のサイクルを繰り返す特徴があります。
不況期(リセッション)⇒景気回復期⇒景気拡張期⇒景気後退期⇒不況期(リセッション)
上記の順番でローテーションし、基本的に逆回転することはありません。また、下の図のとおり、各景気ごとにパフォーマンスが良いとされるセクター(業種)が存在します。
景気サイクルが予想できれば、どの局面でも良いパフォーマンスの銘柄に投資できますね
はい、どの業種の株が買われやすくなるのかを予想することができます。
なぜセクターローテーションは発生するの?
4つの局面は、「金利」「景気」の2つの要素が重要になってきます。
景気が悪くなったら、中央銀行は金利を下げて市場にお金をどんどん投入していきます。金利が下がるとお金が借りやすくなるため、人々の消費や企業の設備投資が積極的になり景気が刺激されます。
逆に、景気が良くなったら、インフレになり過ぎることを防止するために、政策銀行は金利を上げます。
この様に、景気と金利の関係性は強く働くため、市場は決まったパターンに沿って動いていきます。
セクターの特徴
景気敏感株セクター
- 景気敏感株とは景気動向によって株価が変動しやすい株のことです。景気が拡大局面だと、機械や自動車などへの購買力が強くなるため、工業系・元となる素材関連が活気づきます。
景気が良い時は、株価が大きく上昇しますが、反対に景気が悪い時は株価が大きく下落します
日本の東証一部上場企業の33業種を17業種に集約したTOPIX-17を参考にセクターで分類してみましょう。
【景気敏感株セクターと代表的な組み入れ銘柄】
- 機械 :ダイキン工業、SMC、小松製作所
- 素材・化学:信越化学工業、富士フィルムHD、資生堂
- 電気・精密:キーエンス、東京エレクトロン、日立製作所
- 自動車・運送機器:トヨタ自動車、本田技研工業、デンソー
- 商社・卸売:三菱商事、伊藤忠商事、三井物産 など
日本の景気上昇局面で株価が上昇しやすい代表的な企業です。一方で、景気後退局面でも影響を受けやすく下落しやすいため注意が必要です。
ディフェンシブセクター
景気後退局面において、景気変動の影響を受けにくい特徴があるセクターです。このセクターは生活に密着しているインフラ関連業種が多いです。
【ディフェンシブセクターと代表的な組み入れ銘柄】
- エネルギー資源:INPEX、ENEOS、石油開発資源
- 食品 :JT、アサヒGH、味の素
- 医薬品 :武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬
- 電力・ガス:関西電力、東京ガス、東京電力HD
- 運輸・物流:東海旅客鉄道、東日本旅客鉄道、日本郵船 など
投資家が守りを固めるイメージからディフェンシブセクターと言われていますが、コロナショックの鉄道会社などディフェンシブ銘柄でも安心ではありませんので注意しましょう。
金利敏感株セクター
金利の変動に株価が敏感に反応するセクターのことです。一般的には金利低下が好影響を与える企業を指します。またハイテク関連は景気を牽引するセクターで低金利で景気上昇へに移行する局面で活発になります。
【金利敏感株セクターと代表的な組み入れ銘柄】
- 銀行 :三菱UFJ、三井住友、みずほ
- 金融 :東京海上HD、オリックス、第一生命HD
- 不動産 :三菱地所、三井不動産、住友不動産 など
グロース企業は、金利が低い場合積極的に資金を借り入れて、事業や設備投資に充当することで成長率が高まるため金利低下の局面では買われる傾向があります。
まとめ
4つの局面ごとにまとめてみましょう
局面 | 景気・金利 | セクター |
---|---|---|
不景気 (リセッション) | ・景気が弱い状態 ・金利が低くなる | ・公共事業 ・ヘルスケア ・生活必需品 ・通信サービス |
景気回復期 | ・景気が強くなる ・金利が低い状態 | ・金融 ・銀行 ・不動産 ・テクノロジー |
景気拡張期 | ・景気が強い状態 ・金利が高くなる | ・素材 ・資本財 ・一般消費財 |
景気後退期 | ・景気が弱くなる ・金利は高い状態 | ・エネルギー |
上記の表のように景気サイクルに応じて、パフォーマンスが良いとされているセクターは決まっています。しかし、景気サイクルがどのくらいの期間で移行するのか正確に把握することは難しいと考えています。
正確に判断するのが難しいならどうやって活用すればいいのかな?
投資戦略におけるセクターの活かし方
短期投資で金利と景気の関係からセクターを変更して投資する戦略も良いですが、景気サイクルがどのくらいの期間で移行するのか正確に把握することは難しいので注意が必要です。
長期投資で資産運用をしているのであれば、セクターローテーションを意識してポートフォリオを組むことはとても大切です。
一番注意しなければいけないのが、「特定のセクターに偏ってしまうこと」です。分散投資をしようとして銘柄を分散させてもセクターが集中していれば意味がありません。
ポートフォリオの景気敏感銘柄、ディフェンシブ銘柄、金利敏感銘柄の比率を意識して偏っていないかはチェックするようにしましょう。
自分の保有銘柄みたらグロース株だらけでした・・・
私は4つの景気局面に対して約2銘柄ずつ保有しています
分散投資はセクター分散が大切
高配当株投資が人気ですが、特定のセクターに偏らないように注意が必要です。また、投資する銘柄を増やして分散投資することも大切ですが、セクター分散も考慮して銘柄選定しないと効果が薄くなってしまいます。各セクターへの比率を確認し、1つのセクターに偏っていないか定期的にチェックするようにしましょう。