ブログ「マネサピ」を運営しています「ゆーきっちゃん」です。今回は、基軸通貨と言われる「米ドル」の動きから、世界に与える影響を見ていきたいと思います。米ドルの動きから世界経済の変調を読み取れるようにしましょう。
「基軸通貨」と言われる米ドル
米ドルの動きが新興国に与える影響を見てみましょう
アメリカを出た米ドルは新興国を1周してアメリカに戻ります。つまり、米ドルが安定して流れていれば新興国内は自国通貨が流通し、経済は安定的に活性化していきます。
しかし、景気にはサイクルがあるためアメリカの景気変化が、米ドルと新興国通貨とのバランスを崩してしまい新興国経済に影響を与えてしまいます。
米ドルの動きが重要なんですね
米ドルは血液ともいわれています
米ドルを人間の心臓に例えると、各臓器が新興国になります。心臓から出た血液は体内を1周して心臓に戻ります。しかし、血管が細くなり血液の流れが悪くなると体調に異変をもたらしてしまいます。つまり、米ドルの流れを考えれば新興国経済も見えてきて来るんです。
米ドル流動性(ワールド・ダラー=WD)
「WD」とは、世界に流通する米ドルの合計額のことです。
- アメリカ国内の米ドル=アメリカ経済に影響
- アメリカ国外の米ドル=新興国(貿易相手国)に影響
WDの分解
アメリカ国内で流通する米ドル額は、FRBから公表される「マネタリーベース」で把握できます。マネタリーベースとは、金融政策において中央銀行が景気の状況に合わせて供給する通貨量のことで、国内に流通する現金の流通額になります。
金融緩和(利上げ) | 金融引き締め(利上げ) | 量的緩和(QE)/ゼロ金利政策 | |
マネタリーベース | ↑ 上昇 | ↓ 低下 | ↑ 上昇 |
アメリカ国外で流通する米ドル額については指標がありません。そこで、米国債の保管額をFRBが毎週公表するので参考にしましょう。この保管額が、各国の米ドルでの外貨準備高と概ね一致するので、アメリカ国外で流通する米ドル額と推測できます。
米貿易収支が新興国に景気に与える影響
米ドルは、基軸通貨として世界で使用されています。貿易赤字のアメリカが相手国から商品やエネルギーを輸入するときに米ドルを支払うことで、米ドルは海外に流出します。つまり、
アメリカの景気が好調→輸入の増加→貿易赤字の拡大→米ドルが世界に流出
という流れになります。逆にアメリカの貿易赤字の縮小は「米ドルが世界に流出しなくなる→貿易相手国の景気鈍化」に繋がります。
米貿易収支の動向は米ドルの流れが変わるため、貿易相手国に与える影響があります
新興国の為替介入
新興国の多くは、政府が為替水準をコントロールするために為替介入政策を実施します。為替介入する理由は以下の通りで、為替介入が行われた米ドルは外貨準備高として中央銀行に集まります。
- 企業は輸出の対価として米ドルを受け取る
- 国内銀行で自国通貨に交換
- 為替は米ドル安・自国通貨高になる
- 輸出しても儲からない
- 経済が不安定になる
- 中央銀行が「米ドル買い・自国通貨売」の為替介入
- 自国通貨高に歯止めをかける
この為替介入で新興国は輸出を増やしても収益が安定するため、輸出が促進されて国内経済が活性化されます。また、新興国の景気が良いと為替介入によって、新興国の米ドル外貨準備高が増加します。
米ドル外貨準備高の増減が新興国の景気の良し悪しを表します
新興国の景気は、アメリカの景気や米ドルの流れに左右されるんですね
WDから見る新興国経済
アメリカが好景気であるとき、新興国は不景気です。逆に、アメリカが不景気になったときは新興国が好景気で盛り上がります。
アメリカの貿易赤字拡大(景気好調)の影響は、長い時間をかけて米ドル安になり、新興国の米ドル外貨準備高を増加させて新興国の経済を活性化させます。
逆に、アメリカの貿易赤字縮小(景気鈍化)の影響は、長い時間をかけてドル高となり、新興国の米ドル外貨準備高を減少させて新興国経済を鈍化させます。
WDから世界を見る
2つの基本は覚えておきましょう
- アメリカの景気が時間差を伴って海外経済に影響する
- 米ドルでの外貨準備高が主に新興国の景気を表す
今後、アメリカが景気拡大して貿易赤字が拡大、海外への米ドル流出量が増加するのか。または、金融緩和でアメリカのマネタリーベースが増加するのか・・・WDの変化はアメリカを含む世界経済の現状を把握して先行きを占うのに重要な指標ですので、覚えておきましょう♪